財政政策の勉強会メモ

藤井聡先生に依る講演の備忘録です。先生の意図したところが再現出来ていない場合は、私の理解不足になりますのでご容赦のほど願います。



タイトル:今、デフレ脱却の為に必要なのは、「戦略的・財政政策」である



2月26日に行われた参議院、「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」での藤井先生のプレゼンテーション及び資料から、講演頂きました。要旨を箇条書きさせて頂きます。



地震の実態は、科学的には、プレートとプレートのぶつかり合いで地下の岩盤が割れることである。但し、目に見える現象は、地面が揺れる事である。



* デフレ不況の実態は、倒産/失業が増え、所得が減ることである。

目に見える現象は、物価が下がること、貨幣量が少なくなること、貨幣速度が低下すること、目に見える現象ではなく、実態の現実を理解しないとならない。



* デフレ脱却の為には、倒産/失業を減らし、所得を上げることこそ必要である。その為には、財政政策+金融政策、雇用と中小企業と地域産業の保護と支援が必要である。



* 外需の拡大もあるが、リーマンショック以後、現在は世界の需要が縮小している厳しい状況、今回、輸出・外需はデフレ脱却策としては取り上げていない。



* しかし、財政政策は一時的に元気づけるだけの「カンフル剤」とネガティブワードで取り上げられることが多い。カンフル剤がないと元の木阿弥になる。財政政策はデフレ不況という不健康体が健康を取り戻す為の薬、点滴と理解すべきである。



* デフレ脱却の方法としては、金融政策、日本銀行に依る金融緩和、供給された資金を民間消費・投資にまわる。財政政策、政府が国債発行して公共投資を行うものである。



* 今の日本デフレ病の病状は?快方に向かっているが、企業倒産数改善、失業率改善、GDPデフレーターがプラス化、コアコアCPI改善



* 完治にはほど遠い状況である。実質GDP成長率1%(10-12月期)、労働者平均給与が依然低い状態



* 平成25年度は財政政策10兆円があったが、インフレターゲット2%には届かないなかで、平成26年度は財政支出5兆円へ減少となり、財政の崖を迎える。



* そんな中での、「増税」+「財政の崖」ショック!

ようやく、ヒドイ肺炎から治りかけたのに、町内マラソン大会に出ないといけない...

ような状態 (藤井先生らしい絶妙な表現だと思います。)



*日本経済危機仮説

 ?消費増税による消費・投資の低減、内需の縮小をもたらす。マインドを冷やす効果もある。

 ?増税補正予算削減は11兆円、政府支出による内需を減少させる。

  ・補正予算10兆円−5.5兆円=△4.5兆円

  ・消費増税△8兆円

  ・基礎的財政収支、当初予算から上積み1.8兆円

   4.5兆円+8兆円−1.8兆円≒11兆円

 ?世界経済の不安定化による日本経済への被害

  ・アメリFRB金融引き締め(米株安が日本株安へ波及)

  ・中国シャドーバンク問題

  ・ユーロ危機

  ・韓国経済危機

 ?日本で財政出動が少ないなかで、金融緩和ばかりやり過ぎるとバブルをおこし、バブルが崩壊する危険性もある。

  近年の世界の経済危機は、リーマンショックITバブル、住宅バブル等、緩和マネーがバブルをおこし、バブルが崩壊したことにより、金融経済から、実体経済へと危機をもたらしている。



*危機を乗り越えるための対策

 ?疲弊した法人支援、中小企業支援

  大企業は良好になってきたが、未だに中小企業にはまわってきていない。

  トリクルダウン理論、過度な大企業優遇、グローバル化はダメである。

 ?インフラ投資

  ・国土交通省 リニア新幹線、高速道路、港湾

   中国は交通インフラ投資を積極的に行っている。

   先進国、成熟国であるドイツ、フランスも高速鉄道整備に努めている。

   日本も北陸、北海道新幹線整備を加速化するべきである。

  ・経済産業省 エネルギー投資

   震災を意識して内陸部にLNG火力発電所をつくる等

  ・総務省 IT通信インフラ

  ・文部科学省 教育・研究開発投資

 ?防災投資、強靭化投資、老朽化対策(橋梁、トンネル、ダム、道路、公共施設)

?民間投資を誘発する

  民間施設、原子力発電所、火力発電所の保守、更新投資も必要

  民間住宅の耐震補強、強靭化

  公共事業単価の適正化、建設産業の投資促進、減少した建設業の供給を回復する。

?過当競争、過度な雇用流動化の見直し

 第3の矢がデフレ加速策にならないようにする。



徹底的な財政出動が不可欠であり、戦略的な財政政策こそが、今なすべき経済政策である。